瓦の種類・形状・価格・特徴を徹底解説!一目でわかる一覧表付き
2022.04.29 (Fri) 更新
一口で「瓦」と言っても、さまざまな種類があるのをご存知ですか?
形状はもちろん、価格や特徴も異なる瓦。自宅屋根のリフォームを検討しているのであれば、どんな種類の瓦があるのか知っていたほうが納得できる結果となるでしょう。
本記事では、瓦の種類・形状・価格・特徴を詳しく解説します。ぜひ最後までお読みください。
もくじ
瓦の種類1.和瓦
波を打ったような形をしている「和瓦」は、天然素材の粘土を高温で焼き固めて造られた和風テイストの瓦です。
その名のとおり日本で古くから使われており、形状名である「J形瓦」はまさにJapanese(
日本式)のJから付けられたとされています。
和瓦には「日本瓦」「粘土瓦」「いぶし瓦」「陶器瓦」など複数の呼び名があるのですが、製造方法は異なるものの、すべて粘土素材で造られた「和瓦」の一種であると覚えておきましょう。
さらに和瓦は「釉薬瓦」と「無釉瓦」の2種類に分類されます。それぞれの特徴を、下記で詳しく見ていきましょう。
釉薬瓦
釉薬瓦とは、成形後の粘土に釉薬(ゆうやく/うわぐすり)と呼ばれる水の浸透を防ぐ薬品を塗布して焼いた瓦のことです。
釉薬は陶器製品にも使われている薬品のため、釉薬瓦は別名「陶器瓦」とも呼びます。さまざまな色や艶を出せるため、どんなテイストの住宅にも合わせやすい瓦です。
また、釉薬瓦は耐水性や耐久性に優れており、色あせにも強いことから塗装メンテナンスは必要ありません。耐用年数は50〜60年ほどになります。
漆喰や防水シートのメンテナンスは定期的に必要なものの、塗装メンテナンス不要で長期間美しさを保てることは最大のメリットと言えるでしょう。
無釉瓦
無釉瓦とは、名前からも連想できるとおり釉薬(ゆうやく/うわぐすり)を塗布せずに焼いた瓦のことです。
無釉瓦は主に「いぶし瓦」「素焼き瓦」「窯変瓦」「煉込瓦」の4種類があるのですが、その中でも和風住宅や寺社などに多く使われているのは「いぶし瓦」と「素焼き瓦」の2種類になります。
- いぶし瓦:窯の中でいぶした渋い銀色の瓦、耐用年数は30~60年ほど
- 素焼瓦:粘土を素焼きした自然な赤色の瓦、耐用年数は40~50年ほど
釉薬瓦と同じく塗装メンテナンスは不要ですが、漆喰や防水シートは15〜30年ごとに点検・補修が必要です。
また、いぶし瓦は経年劣化によって色ムラの目立ちや耐水性の低下がみられるため、10〜15年に一度は専門業者に点検してもらいましょう。
瓦の種類2.洋瓦
その名のとおり洋風住宅に使われていそうな「洋瓦」は、色やデザインが豊富なおしゃれな瓦。和瓦と同じく、天然素材の粘土を焼き固めて造られた「粘土瓦」の一種です。
洋風な瓦と聞くと比較的新しい種類の瓦だとイメージしがちですが、実は江戸時代末期には日本で使われていたとされています。
また、洋瓦には「F形瓦」「S形瓦」と呼ばれる2種類の形状があります。それぞれの特徴を、下記で詳しく見ていきましょう。
F形瓦
F形瓦とは、表面にあまり凸凹がない平らなデザインをしている瓦のことです。
Flat(平らな)の頭文字であるFを取って「F形瓦」と呼ばれる他、平らな形状という意味合いで「平板瓦」と呼ばれることもあります。
シャープですっきりしたデザインで、黒っぽい色味がより重厚感を演出。シックな雰囲気の屋根に仕上げたい人におすすめの瓦です。
また、平らな形状を活かして太陽光パネルを設置することも可能。F形瓦に葺き替えする機会に、太陽光パネルの設置も検討してみるのもよいでしょう。
耐用年数は40〜60年ほど。耐久性や断熱性、通気性に優れています。塗装メンテナンスは不要ですが、10〜20年に一度は漆喰や防水シートの点検・補修をしてください。
S形瓦
S形瓦とは、断面がS字のように大きく波打った形状をしている瓦のことです。
Spanish(スペイン風)の頭文字であるSを取って「S形瓦」もしくはそのまま「スパニッシュ瓦」とも呼ばれます。
シックなF形瓦に対し、S形瓦はかわいらしい雰囲気が魅力の瓦。通気性や断熱性に優れており、カラーバリエーションも豊富です。いくつかの色を組み合わせた「混ぜ葺き」という工法も人気があります。
F形瓦と同じく耐用年数は40〜60年ほどで、塗装メンテナンスは不要。ただし、漆喰や防水シートは10〜20年ごとに点検・補修をしましょう。
瓦の種類3.セメント瓦
セメントと砂、水を混ぜ合わせて造られている「セメント瓦」は、形成した後に表面を塗装で仕上げた瓦です。
見た目は和瓦によく似ていますが、種類はまったく別のものになります。
とはいえ、セメント瓦は色や形のバリエーションが豊富なことが大きな魅力。和洋どちらの雰囲気にも合わせやすいため、取り入れやすい瓦と言えるでしょう。
また、セメント瓦は「プレスセメント瓦」と「コンクリート瓦(モニエル瓦)」の2種類があります。それぞれ特徴が異なるため、下記で詳しく見ていきましょう。
プレスセメント瓦
プレスセメント瓦とは、セメントと砂を主原料とした瓦のことです。原料を型に流し込み、加圧成形して造られることからプレスセメント瓦と呼ばれています。
形状が均一かつカラーバリエーションも豊富なため、施工する建物を選ばないことが大きな特徴です。
しかし、他の屋根材よりも重量がある上に、定期的に塗装メンテナンスが必要なため、現在ではほぼ生産されていません。
そのため、プレスセメント瓦のメンテナンス方法は、下記3つのいずれかになります。
- 塗装メンテナンス:雨漏りが起きておらず、瓦の劣化が激しくない場合
- 部分交換:一部の瓦のみ破損し、かつ中古品が見つかった場合
- 葺き替え:中古品が見つからない場合や、全体的に劣化している場合
プレスセメント瓦の耐用年数は30〜40年ほどのため、寿命を迎える前に専門業者に相談しておくと安心でしょう。
コンクリート瓦(モニエル瓦)
コンクリート瓦(モニエル瓦)とは、セメントと水と骨材を混ぜたものを成形して「着色スラリー」で色を付けた後、さらに防水性を高めるためにクリア塗装を施した瓦のことです。
着色スリラーとはセメントの着色料のことで、コンクリート瓦(モニエル瓦)の表面には「スリラー層」と呼ばれる特殊な着色料の層が作られています。
そのため、塗装メンテナンスの際はスリラー層を完全に取り除かなければ、塗料の効果を十分に発揮することができません。
専門知識を得ていない業者に依頼すると施工不良につながるため、塗装メンテナンスする際は十分に注意してください。
また、コンクリート瓦(モニエル瓦)は現在製造されていません。中古品でも入手しづらいと言われているため、メンテナンス方法としては塗装か葺き替えのどちらかになります。
瓦の種類ごとの特徴や価格を一覧表で紹介
これまで紹介した全6種類の瓦の特徴や価格を、わかりやすく一覧表でまとめました。瓦屋根をリフォームする際の参考にしてください。
瓦の種類 |
特徴・性能 |
再塗装 |
耐用年数 |
施工価格(平方メートル) |
和瓦/釉薬瓦 |
耐久性、断熱性、耐火性、防水性、防音性 |
不要 |
50年以上 |
8,000~12,000円 |
和瓦/無釉瓦 |
耐久性、断熱性、耐火性、防水性、防音性 |
不要 |
30~50年 |
8,000~12,000円 |
洋瓦/F形瓦 |
耐久性、断熱性、通気性 |
不要 |
40~60年 |
7,000~16,000円 |
洋瓦/S形瓦 |
耐久性、断熱性、通気性 |
不要 |
40~60年 |
5,000~13,000円 |
プレスセメント瓦 |
不燃性、断熱性、遮音性 |
10~15年ごとに必要 |
30~40年 |
6,000~8,000円 |
コンクリート瓦 |
耐震性、断熱性 |
10~15年ごとに必要 |
20~30年 |
6,000~8,000円 |
瓦屋根をリフォームするなら「葺き直し」または「葺き替え」
瓦は劣化しておらず下地のみ修繕したい場合は「葺き直し」を、瓦が劣化している場合は「葺き替え」にてリフォームしましょう。
- 葺き直し:既存瓦を一旦撤去し、下地を修繕したのち既存瓦を葺き直す工法
- 葺き替え:既存瓦を撤去し、下地を修繕して新しい瓦に葺き替える工法
また、屋根のリフォーム方法にはもう一つ、既存屋根の上に新しい瓦を重ねる「カバー工法」と呼ばれるものがあります。
カバー工法は葺き直しや葺き替えに比べて工期も費用も抑えられる工法ですが、重量のある瓦屋根には適していません。
専門業者としっかり相談して、自宅の屋根に合った方法でリフォームしてくださいね。
自宅に適した種類の瓦を選んでリフォームしよう!
弊社ルーフカベドクターは、川越市にある地域密着型の外壁・屋根塗装専門店です。瓦屋根のメンテナンスやリフォームを含め、施工実績は7,000件以上。長年にわたり、川越市エリアを中心に多くの工事を手掛けてきました。
無料の建物診断も実施しておりますので、瓦屋根のメンテナンスやリフォームを検討している人はお気軽にお問い合わせください。